歯の定期検診

お口の健康を守る「歯の定期検診」

歯の定期検診とは

虫歯や歯周病は、痛みなどの症状が出てから治療を始めるよりも、悪くなる前に見つけて予防していく方がお口にも身体にも大きなメリットがあります。症状が現れてからでは、治療にかかる時間や費用、身体への負担が大きくなってしまうためです。当院では、治療が完了してお口の中が健康な状態になった患者様に、その状態をできるだけ長く維持するための「歯の定期検診」をご案内しています。

定期検診は、何かを治すための治療ではなく、健康な状態を保つために行う歯科的なケアです。お口の中の検査、歯石の除去、歯のクリーニング、フッ素塗布、ブラッシング指導など、ご自身では行えないさまざまな処置を組み合わせて、お口の健康を継続的にサポートします。こうした予防的なケアを習慣にしていただくことで、虫歯や歯周病の発生・再発を防ぎやすくなります。

定期検診で口腔内をチェックする歯科衛生士

健康な歯を、長く一緒に

虫歯や歯周病の治療を受け、また悪くなったら治療するというような「悪くなってからの場当たりな治療」を続けていると、徐々に歯の健康を自力で維持することが難しくなっていきます。とくに永久歯は、一度治療で削ってしまうと元には戻りません。何度も治療を繰り返すうちに歯質が少なくもろくなり、やがて抜歯せざるを得ない状態へと進んでしまうこともあります。

定期検診の大きな目的のひとつは、「8020運動はちまるにいまるうんどう」と呼ばれる80歳になっても20本以上の歯を残すことです。健康な歯の本数が多いほど健康寿命にも良い影響があることが、さまざまな研究で明らかになっています。近年の調査では8020の達成者は5割を超えている(※1)ものの、まだまだ多くの方が早い段階で歯を失っているのが現状です。当院では、悪くなる前に予防する習慣を一緒につくっていくことを大切にしています。

健康な歯で健康な高齢者

※1)8020達成者の割合(80歳で20本以上の歯を有する者の割合)は、75歳以上85歳未満の20本以上歯を有する者の割合から51.6%と推計され、前回調査時(51.2%)とほぼ同じであった。

定期検診で行うこと

虫歯のある歯のイラスト

虫歯のチェック

歯科医師による視診とレントゲン撮影で、お口の中に新しい虫歯ができていないかを確認します。初期の虫歯は痛みなどの自覚症状がほとんどなく、ご自身では気づきにくいもの。定期的にプロの目でチェックすることで、早い段階での対応が可能になります。

ごく初期の虫歯であれば、フッ素や日々のセルフケアでの経過観察をご提案することもあります。

歯周病の疑いがある歯のイラスト

歯周病のチェック

歯周ポケットの深さを測定し、歯茎の状態や歯を支える骨に変化がないかを確認します。歯周病は痛みが出にくく、気づいたときには進行していることもある病気です。

とくに30代以降はリスクが高まるため、年に一度はレントゲンで歯槽骨の状態を確認することで、初期の変化を見逃さずに対応できます。

銀歯の被せ物が入った歯

治療した歯のチェック

過去に治療をして詰め物や被せ物が入っている歯は、その境目から新たに虫歯ができやすい場所のひとつです。詰め物・被せ物自体も経年で少しずつ劣化や変形が起こることがあるため、欠けやズレ、隙間がないかを丁寧に確認します。

治療した歯を長持ちさせることも、お口全体の健康を守る大切なポイントです。

歯のクリーニング

歯のクリーニング

毎日のセルフケアでは取り除ききれないプラークや歯石、着色汚れを、専用の器具を使って歯科衛生士が丁寧にお取りします。歯石が付着しているとそこにさらに汚れがつきやすくなり、口臭の原因にもなるため、定期的なクリーニングはお口の健康を守るうえで重要な処置です。

施術後は歯の表面がつるつるになり、汚れもつきにくい状態に整います。

健康を保つ2つのケア

プロフェッショナルケア

定期検診のように、歯科医師や歯科衛生士が専門の器具と技術を使って行うケアを「プロフェッショナルケア」と呼びます。歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間や歯周ポケットの中の汚れ、ご自身では取り除けない歯石などを、専用の器械で丁寧に取り除いていきます。当院では3〜4ヶ月に一度の頻度を目安にご案内していますが、お口の状態によって最適な間隔は異なります。

プロフェッショナルケアは、定期検診として保険診療の範囲で受けていただくことが可能です。費用を抑えながら継続できる仕組みになっていますので、無理なく続けやすい予防の習慣として、ぜひ取り入れていただければと思います。

プロフェッショナルケアを行う歯科衛生士

ご家庭でのセルフケア

どれほど丁寧にプロフェッショナルケアを受けていても、その合間のセルフケアが不十分だと、虫歯や歯周病は少しずつ進行していきます。毎日の歯磨きを基本に、デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間の汚れを落とすこと、必要に応じてマウスウォッシュを補助的に使うこと、これらを組み合わせていただくと、汚れの取り残しがぐっと減ります。

歯磨き粉は、虫歯予防効果を最大限に得られるよう、フッ素濃度の高いものを選んでいただくのがおすすめです。日本で販売される歯磨き粉に配合できるフッ素の上限は1,500ppmと定められており(※2)、1,450ppm配合のものが一般的に多く市販されています。お子様には年齢に応じた濃度の歯磨き粉を、大人の方には高濃度フッ素配合のものを選ばれると、毎日の歯磨きでより効果的な予防が期待できます。当院でも患者様に合った歯ブラシや歯磨き粉のご提案を行っていますので、お気軽にご相談ください。

歯ブラシでセルフケアを行う女性

※2)2017年3月には、フッ化物配合歯磨剤のフッ化物イオン濃度の上限を1,500ppmとする高濃度フッ化物配合歯磨剤の医薬部外品としての市販が、厚生労働省により新たに認められたところである。

予防歯科について

歯の健康を維持する予防歯科

予防歯科とは

虫歯や歯周病は、症状が進んでから治療するよりも、悪くなる前に見つけて手を打つことの方が、お口にも身体にも大きな意味があります。痛みが出てからの治療には、時間や費用の負担に加え、お身体への影響も少なくありません。当院では、治療を終えてお口が健康な状態に戻った患者様に、その状態を長く保つための「予防歯科」をご案内しています。

予防歯科とは、虫歯や歯周病といったトラブルを治すことを目的とした治療ではなく、健康な状態を守り続けるための取り組みです。定期的に歯科医院で受ける検診や歯のクリーニング、歯磨き指導といった処置を通じて、トラブルを未然に防いでいきます。近年は、お口の健康が全身のコンディションや生活の質(QOL)にも深く関わっていることが分かってきており、日常的なケアを積み重ねていく予防中心の歯科医療が注目されています。

歯の模型と予防歯科のイメージ

より多くの歯を残すために

近年は予防歯科への意識が高まってきており、お口の健康を保つために定期的に通院される方も増えてきています。実際、令和6年に行われた厚生労働省の歯科疾患実態調査では、80歳で20本以上の歯を残している方(8020達成者)の割合がはじめて6割を超え、61.5%に達したことが報告されました(※1)。これはこれまでの調査から徐々に伸びた数値で、「年を重ねれば歯を失うのは当然」とは言い切れない時代になってきていることを示しています。

とはいえ、年齢を重ねるとともに歯を失うリスクが高くなる傾向そのものは依然として残っています。若いうちから繰り返し虫歯の治療をしてしまったり、歯磨きの習慣が身についていなければ、歯は少しずつ弱くなってやがて失われます。ご自身の歯で生涯を健康に過ごしていただくためにも、虫歯や歯周病の予防に早い段階から取り組むことが大切です。

調査年別の8020達成者の割合

※1)8020達成者(75歳以上85歳未満の数値から推計)は61.5%であった(20ページ表17、図17)。参考)前回の調査結果(令和4年)は51.6%であった。

歯科医院で行う予防歯科

歯石取りを行う歯科衛生士

歯石取り(SC)

歯石取り(スケーリング)は、予防歯科や歯周病治療の基本となる処置のひとつです。プラークが唾液中のミネラル成分と結びついて石灰化したものを「歯石」と呼び、いったん歯石になってしまうと、ご自宅での歯磨きでは取り除くことができません。

歯石は丁寧に歯磨きをされている方でも、数ヶ月かけて少しずつ溜まっていきます。放置していると歯周病の進行する大きな原因になるため、健康な方でも定期的にお口の中をチェックして、歯石を取り除くことが大切です。

歯磨き指導を行う歯科衛生士

歯磨き指導(TBI)

毎日のセルフケアが正しく行えているかどうかを確認したうえで、磨き残しの傾向や、より効果的なブラッシング方法をお伝えする処置です。同じ時間をかけて歯磨きをしていても、磨き方や順序によって効果には大きな差が出ます。

歯ブラシの当て方や動かし方は、ご自身ではなかなか客観的に確認できないものです。定期的にTBIを受けて磨き方のクセを見直していくことで、ご自宅でのケアの質が高まり、お口の健康をより長く保つことにつながります。

歯周病検査のプロービングの様子

歯周病検査

「プローブ」と呼ばれる細い器具を使って、歯と歯茎の間にある歯周ポケットの深さや、軽い刺激での出血の有無を調べる検査です。健康な歯茎の場合、歯周ポケットの深さはおよそ3mm以内に収まり、引き締まった状態を保っています。

歯周病が進行していたり、歯茎に炎症が起きていたりすると、ポケットが4mm以上に深くなったり、検査時に出血しやすくなったりします。歯周病は痛みが出にくい病気なので、こうした客観的な検査によって状態を把握することが、早期の対応につながります。

ご自宅でできる予防歯科

歯磨きを行う女性

歯磨き

セルフケアの基本となるのが、毎日の歯磨きです。お口の中の汚れを物理的に取り除くもっとも回数の多いケアで、日々の健康意識にも直結する習慣でもあります。

当院では、お口の状態に合わせた歯ブラシのご提案や、虫歯予防に効果的なフッ素配合の歯磨き粉のご紹介も行っております。何を選んだらよいか迷われたときは、お気軽にスタッフへお声がけください。

デンタルフロス

デンタルフロス・歯間ブラシ

歯ブラシだけでは、歯と歯のあいだに残ったプラークや食べかすを取りきることは難しいものです。フロスや歯間ブラシといった補助清掃用具を併用していただくことで、汚れの取り残しを大きく減らすことができます。

歯と歯のあいだは虫歯や歯周病が始まりやすい場所のひとつなので、磨き残しの多い部分を意識的にケアすることが、毎日の予防効果を高めることにつながります。

マウスウォッシュ

マウスウォッシュ

マウスウォッシュは、含まれる殺菌成分の作用によって、虫歯や歯周病、口臭の予防を補助してくれるアイテムです。清涼感もあり、お口の中の不快感をリフレッシュできる手軽さも魅力です。

ただし、マウスウォッシュはあくまで歯磨きとフロスを基本としたケアの「補助」として位置づけられるものです。うがいだけで汚れが落ちるわけではないため、基本のセルフケアを行ったうえで取り入れていただくのが効果的です。

シュガーレスガム

シュガーレスガム

砂糖を使っていないシュガーレスガムは、噛むことで唾液の分泌を促し、お口の中の自浄作用を高める効果が期待できます。特にキシリトールを多く含むガムには、虫歯の原因菌のエネルギー源にならず、虫歯予防に役立つことが報告されています。

ただし、キシリトール以外の甘味料が多く含まれている製品もありますので、購入の際は成分表示を確認していただくのがおすすめです。食後の補助的なケアとして、上手に取り入れてみてください。

予防歯科の実践

セルフケア・プロケアを組み合わせる

「毎日きちんと歯磨きをしているから大丈夫」と感じていらっしゃる方も、実際には歯ブラシでは届かない部分にどうしても汚れが残ってしまうものです。歯と歯のあいだ、歯と歯茎の境目、奥歯の裏側などは磨き残しが起きやすく、放置するとプラークが歯石へと変化し、歯周病のきっかけになっていきます。

ご自宅でのセルフケアが「毎日の汚れをこまめに落とすケア」だとすれば、歯科医院で行うプロケアは「ご自身では届かない汚れをリセットし、磨き残しによる影響を防ぐケア」です。この2つを組み合わせていただくことで、虫歯や歯周病をより確実に、そして長期的に防ぐことができます。ご自宅でのケアを最大限に活かすためにも、定期的に歯科医院でのプロケアを取り入れて、お口の健康を守っていきましょう。

予防歯科でプロケアを行う歯科衛生士

歯のクリーニング

歯科医院で受ける歯のクリーニング

歯のクリーニングとは

歯科医院で行うクリーニングとは、歯ブラシだけでは落としきれない汚れを専門的な器具で取り除き、お口の中を清潔な状態に整える処置のことです。毎日の歯磨きもセルフクリーニングのひとつですが、歯と歯のすき間や歯茎との境目など、ご自身のケアでは手の届きにくい場所には、どうしても汚れが残ってしまいます。

こうした磨き残しが少しずつ積み重なると、やがて細菌のかたまりである歯垢(プラーク)が定着し、虫歯や歯周病、口臭の原因になっていきます。歯のくすみや着色が気になる方、しばらく歯医者に行っていないという方は、一度専門的なクリーニングでお口をリセットしていただくと良いと思います。

歯のクリーニングを行う歯科衛生士

セルフケアと専門的クリーニングの違い

ご自宅での歯磨きと歯科医院でのクリーニングはそれぞれ役割が異なります。毎日のセルフケアは、その日についた汚れをこまめに落とすための習慣です。歯科医院でのクリーニングは、セルフケアでは取りきれずに蓄積してしまった汚れを、専門知識を持った歯科衛生士が専用の器具を用いてまとめてリセットする役割を担っています。

どれだけ丁寧に歯を磨いていても、磨き残しをゼロにすることはできません。ただし、定期的に専門的なクリーニングを受けていれば、汚れが歯石になって悪さをする前に取り除くことができます。セルフケアとプロのケア、この両方を組み合わせる事が、お口の健康を長く保つうえで大切です。

専門的クリーニングで使用するエアフロー

クリーニングで取り除くお口の汚れ

歯に付着した歯垢

歯垢(プラーク)

歯垢は、食べ物に含まれる糖分などを栄養にして増えていく細菌のかたまりです。やわらかそうに見えますが粘着性が強く、うがい程度では落とすことができません。

歯と歯のあいだや歯茎の境目など、歯ブラシの届きにくい場所に溜まりやすいのが特徴です。歯垢のうちは歯磨きで落とせるため、こまめに取り除くことが何よりの予防になります。

歯石が付着した歯

歯石(しせき)

歯垢が取り除かれないまま放置されると、唾液中のカルシウムなどの成分と結びつき、2〜3日ほどで石のように硬い歯石へと変化します。歯石になってしまうと、ご自宅での歯磨きでは取り除けません。

歯石の表面はざらざらしているため、さらに歯垢を呼び込みやすく、口臭や歯周病を進行させる原因になります。安全に取り除けるのは歯科衛生士によるクリーニングだけです。

着色して汚れた歯

着色汚れ(ステイン)

コーヒーや紅茶、緑茶、赤ワイン、タバコのヤニなど、色の濃い飲食物を頻繁に摂ると、歯の表面に着色汚れ(ステイン)が付きやすくなります。

着色汚れは見た目の印象を損なうだけでなく、歯の表面をざらつかせて汚れを溜めやすくします。毎日の歯磨きでは落としにくいため、歯科医院でのクリーニングで取り除くことをおすすめします。

歯のクリーニングとホワイトニングの違い

保険診療で受けるクリーニング

歯垢や歯石の付着は誰にでも起こるもので、放置すれば歯周病を招いてしまいます。そのため、歯石の除去を目的としたクリーニングは、基本的に保険診療の範囲で受けることができます。

具体的には、歯に付着した歯石を取り除くスケーリングや、歯茎よりも下に隠れた歯石を取り除くSRP(スケーリング&ルートプレーニング)などがあります。保険診療のクリーニングで目指せるのは、歯が本来持つ自然な白さを取り戻すことです。汚れや着色を落として、清潔な状態に整えるための処置だとお考えいただくと良いと思います。

保険診療のクリーニングで歯石を取り除く様子

自由診療で目指すより白い歯

一方で、歯そのものをより白く美しくしたいという場合には、ホワイトニングという選択肢があります。ホワイトニングは薬剤の力で歯を白くする処置で、病気を治すための治療ではないため、自由診療(全額自己負担)の扱いとなります。

クリーニングで落とせるのは、あくまで表面に付いた汚れや着色までで、歯そのものの色を明るくすることはできません。ただし、より白い歯を目指したいという方には、ホワイトニングを組み合わせていただくことで、ご希望に近い見た目に近づけることができます。当院でも対応しておりますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。

》当院のホワイトニングについて(自由診療)

ホワイトニングを行う歯科衛生士

定期的なクリーニングで歯と全身を守る

3〜6ヶ月に1回のクリーニングを

クリーニングは、一度受けたら終わりというものではありません。どれだけ丁寧にケアをしていても、歯垢や歯石は時間とともに少しずつ溜まっていきます。そのため、お口の状態にもよりますが、3〜6ヶ月に1回を目安に定期的なクリーニングを受けていただくことをおすすめしています。

定期的にクリーニングを受けていただくと、虫歯や歯周病を早い段階で見つけられるだけでなく、口臭の予防にもつながります。さらに近年は、歯周病が糖尿病や心臓の病気など、全身の健康とも関わっていることが分かってきています。お口を清潔に保つことは、お身体全体の健康を守ることにもつながると考えられています。

歯石が気になる方、しばらくクリーニングを受けていないという方は、まずはお気軽に当院にご相談ください。

定期検診のカウンセリングを行う歯科衛生士

治療の痛みを抑える工夫

痛みをおさえた治療を提供するために

ポイントは麻酔をしっかりと効かせること

アップル歯科では、保険診療・自由診療を問わず、できるだけ痛みを抑えた治療を提供できるよう取り組んでいます。

歯科治療の痛みを和らげるうえで、もっとも大切なのが麻酔をしっかりと効かせることです。ただ「そもそも麻酔注射自体が怖い」「麻酔が痛そう」というイメージを持たれている方も少なくありません。

そのため当院では、麻酔注射の前に塗る表面麻酔をはじめ、さまざまな工夫でその不安を和らげるよう努めています。以下にその取り組みをご紹介します。

痛みを抑えた歯科治療のイメージ

麻酔の取り組み・工夫

表面麻酔を塗布するイメージ

表面麻酔を塗る

麻酔注射の前に、歯ぐきに表面麻酔のジェルを塗ります。針が刺さる部分の感覚を事前に鈍らせておくことで、注射時の痛みをかなり少なくすることができます。

極細注射針のイメージ

極細の注射針を使用する

当院では、直径0.23mmの極細注射針(35ゲージ)を使用しています。針が細いほど刺さるときの痛みは少なくなります。

麻酔液をゆっくり注入するイメージ

麻酔液をゆっくり注入する

麻酔液を素早く注入すると、注入圧によって痛みや不快感が生じることがあります。当院ではゆっくりと一定の速度で注入することで、その痛みをできるだけ抑えるよう心がけています。

麻酔が効くまで待つイメージ

麻酔が効くまでしっかり待つ

麻酔が十分に効くまでには少し時間がかかります。しっかりと時間をとってから処置に入るようにしています。

麻酔は、技術で大きく左右されます

麻酔注射は、注射針を刺す角度、麻酔液を注入するスピード、シリンジを押す指先の力加減、これらの要素を的確にコントロールすることではじめて、痛みをおさえた注射が実現できます。正確な操作には、繰り返しのトレーニングによって培われた技術が求められます。

麻酔注射は、歯科医師免許があれば技量や経験を問わず行えます。しかし、痛みをおさえた麻酔を実現するには、技術の差が大きく出る処置でもあります。当院では院長の確認と承認を経た歯科医師のみが患者様への麻酔注射を担当するという院内基準を設けています。患者様の痛みや不快感を、一つでも減らし、より良い治療をお届けするためです。

麻酔注射の技術イメージ

嘔吐反射を抑えるために

処置・型取りの際の配慮

治療中に「おえっ」とえづいてしまう「嘔吐反射」が起きやすい方にも、できるだけ負担が少なくなるよう配慮しています。

処置の際はできるだけ小さめの回転切削器具を使用しています。型取りの際もできるだけ小さめのトレーを使い、印象材が苦手な方には口腔内スキャナ(デジタル印象)での対応も行っています。

嘔吐反射が起きやすい方は、診療前に歯科医師にひと言お伝えください。事前に把握しておくことで、より適切な準備が整えられます。

嘔吐反射が起こった女性

治療時の痛みが不安な方へ

先延ばしにしてしまうと…

「歯医者はやっぱり怖い・苦手」と感じる方は少なくないと思います。その気持ちは、よく分かります。

ただ、歯科受診を先延ばしにしてしまうと、気づかないうちにお口の状態が悪化していることがあります。ご自宅でのセルフケアだけでは清掃しきれない部分があり、痛みがないまま虫歯や歯周病が進んでいたというケースは珍しくありません。痛みや気になるところがある場合はなおさらです。

歯科医療は以前と比べて大きく進歩しており、麻酔薬や器具・技術も向上しています。以前に痛い思いをされた方も、ぜひ一度ご来院いただければと思います。できるだけ負担の少ない治療をご提供できるよう、スタッフ一同取り組んでいますので、安心してご来院ください。

歯科治療のイメージ

治療の痛みに関するQ&A

ホワイトニングに関するよくあるご質問

Q.治療中は痛みますか?
A.治療は基本的に麻酔をしっかりと効かせた上で行うため、大きな痛みは抑えられます。ただし、麻酔の効き方には個人差があるため、「必ず痛みがゼロになる」とお約束することはできません。それでも、できるだけ不快感を和らげられるよう、さまざまな工夫を重ねています。もし治療中に痛みや違和感を感じた際は、遠慮なくお知らせください。すぐに対応いたします。
Q.麻酔注射が痛いと聞いて不安です。何か対策はありますか?
A.麻酔注射自体に不安を感じている方は少なくありませんがご安心ください。注射の前に表面麻酔(塗るタイプの麻酔)を使い、細い針でゆっくりと薬液を注入するため、チクッとした感覚はかなり抑えられます。ただ、感じ方には個人差がありますので、気になることがあれば事前にお伝えください。
Q.麻酔が効きにくい体質なのですが、大丈夫ですか?
A.事前にお伝えいただければ、量を増やすなど、歯科医師が調整させていただきますのでご安心ください。また、麻酔が十分に効いていない状態で治療を進めることはありません。過去に効きにくかった経験がある方は、受付や問診票でお知らせください。
Q.治療後、麻酔が切れてから痛みますか?
A.処置の内容によっては、麻酔が切れた後に痛みや違和感が出ることがあります。多くの場合は処方または市販の鎮痛剤で対応できる程度で、数日で落ち着いていきます。1週間以上続く場合や、日に日に痛みが強くなる場合は、早めにご連絡ください。
Q.神経を抜く治療は特に痛いと聞きましたが、本当ですか?
A.神経を抜く「根管治療」も麻酔を効かせることで、治療中の痛みはできる限り抑えるよう努めています。ただし、炎症が強い状態では麻酔が効きにくいことがあり、その場合は炎症を落ち着かせてから治療に進みます。
Q.抜歯後の痛みはどのくらい続きますか?
A.通常は3〜5日ほどで落ち着いていきます。痛みのピークは翌日前後であることが多く、処方された鎮痛剤を用法・用量を守って服用し、安静にお過ごしください。なお、抜歯後にできる血の塊(血餅)が失われると、骨が露出して数日後から痛みが強くなることがあります(ドライソケット)。1週間以上痛みが続く場合や、一度治まった痛みが再び悪化する場合は、遠慮なくご連絡ください。
Q.歯石取り(クリーニング)は痛いですか?
A.歯茎の状態によって感じ方が異なります。歯茎が健康な方はほとんど気にならないことが多いですが、歯周病が進んでいる方や歯茎が下がっている方は、しみるような感覚を覚えることがあります。定期的に続けることで歯茎の状態が改善され、徐々に感じにくくなっていきます。痛みが強い場合は麻酔を使うこともできますので、遠慮なくお申し出ください。
Q.えずきやすいのですが、治療を受けられますか??
A.えずきやすい方にも、姿勢の調整や小さな器具の使用、こまめな休憩などで負担を軽減します。事前にお伝えいただければ、嘔吐反射に配慮して治療を進めます。

入れ歯・義歯について

失った歯を補う「入れ歯」治療

入れ歯(義歯)とは

虫歯や歯周病が進んで歯を失ってしまった場合、その部分をそのままにせず、人工的に補う治療を「欠損補綴けっそんほてつ治療」と呼びます。欠損補綴にはいくつかの選択肢がありますが、その中でも最も古くから使われ、多くの方に選ばれてきたのが「入れ歯(義歯)」による治療です。

入れ歯は、ご自身で取り外しができる人工の歯で、お口に残っている歯の本数や状態に応じて形や種類を変えて作製します。保険診療の範囲で作ることができ、外科的な処置を伴わないため身体への負担が少ない一方で、自由診療を選択すれば、より快適な装着感や自然な見た目を追求することも可能です。歯を失ったあとの選択肢のひとつとして、まずは入れ歯のことを知っていただければと思います。

装着された入れ歯のイメージ

歯が抜けたまま放置すると

「1本くらい抜けてもそのままで大丈夫」と感じて、抜けた歯を放置されている方もおられます。しかし、お口の中はとても繊細なバランスで成り立っているため、1本でも歯を失ったままにしておくと、その隙間を埋めるように周りの歯が少しずつ動き出してしまいます。

たとえば、噛み合っていた相手の歯が伸び出してくる「挺出ていしゅつ」、隣り合う歯が抜けたスペースに倒れ込んでくる「病的歯牙移動びょうてきしがいどう」、奥歯を失った負担が前歯にかかって前歯が外側へ広がる「フレアーアウト」など、知らないうちにお口全体のバランスが崩れていきます。歯並びが乱れたあとに治療をやり直すのは大変なため、歯を失った段階で、できるだけ早く治療方法をご相談いただくのがおすすめです。

抜けた歯の影響を説明する歯科医師

入れ歯の種類

部分入れ歯

部分入れ歯

失った歯が一部だけの場合に用いる入れ歯です。残っているご自身の歯に金属製の金具(クラスプ)を引っ掛けて固定し、樹脂製の人工歯と歯茎部分でお口を補います。

ブリッジ治療と違い、隣の歯を大きく削る必要がないことが大きな特徴です。基本的にどの歯が抜けた場合にも作ることができ、保険診療で対応できます。

総入れ歯

総入れ歯

歯がすべて失われた方や、残っているわずかな歯では支えきれない場合に選択する入れ歯です。金具で固定できる歯がないため、樹脂でできた義歯床を歯茎の粘膜に吸着させて安定させます。

フィット感は型取りの精度や歯茎の状態によって変わってくるため、丁寧な型取りとお口に合わせた調整が、快適に使うための鍵となります。

自由診療の入れ歯

自由診療の入れ歯

保険診療の入れ歯では違和感が強い、金具が目立つのが気になる、よりフィットする入れ歯を使いたい、といったご要望にお応えする選択肢です。

床を薄く丈夫にできる「金属床義歯」、金具を使わない「ノンクラスプデンチャー」、お口にぴったり合わせるオーダーメイドの「BPSデンチャー」など、お悩みやご希望に応じた選択肢があります。

入れ歯治療の注意点

入れ歯を選択するメリット

入れ歯治療には、欠損補綴のなかでも入れ歯ならではの魅力があります。まず、保険診療の範囲で作製できるため、費用を抑えながら噛む機能を回復できることが大きな利点です。インプラントのような外科的な処置を必要としないため、持病をお持ちの方やご高齢の方にも選びやすい治療法と言えます。

また、製作から完成までの期間が比較的短く、抜けた歯がある状態を長く放置せずに済むことも魅力のひとつです。取り外しが可能なため、お手入れがしやすく、不具合があれば調整や修理で対応できる柔軟さもあります。歯が抜けた本数や状態を問わず、ほとんどのケースに対応できる、欠損補綴治療の基本的な選択肢です。

入れ歯を使って食事を楽しむ高齢者

入れ歯の装用感について

多くのメリットがある入れ歯治療ですが、初めて使い始めるうえで、あらかじめ知っておいていただきたい点もいくつかあります。これまでご自身の歯で噛んでいた方にとっては、お口の中に入れ歯があること自体に最初は違和感を覚えやすく、慣れるまでに少し時間がかかることがあります。中には数日で慣れる方もおられますが、数週間ほどかけてゆっくり馴染んでいくケースが多いです。

また、毎食後に取り外して洗うお手入れが必要であること、保険診療の部分入れ歯では金属の金具が見える場合があること、長く使っていくうちに歯茎の形が変わり調整が必要になることもあります。これらは入れ歯の特性によるもので、あらかじめ知っておくことで安心してお使いいただけます。気になる点があれば、治療を始める前にも、使い始めてからも、お気軽にご相談ください。

入れ歯のお手入れ

入れ歯を快適に使い続けるために

定期的な調整とメインテナンス

入れ歯は、できあがったときが完成形というわけではなく、使い続けるなかでお口の状態に合わせて少しずつ調整していくものです。歯を支えていた骨や歯茎は、入れ歯を使い始めてからもゆっくりと変化していくため、最初はぴったり合っていた入れ歯でも、時間とともにわずかなズレが出てくることがあります。

違和感を抱えたまま使い続けると、特定の歯茎に負担が集中して炎症の原因になったり、噛み合わせのバランスが崩れて顎に負担をかけたりすることもあります。「少し合わないかも」と感じた段階で早めにご相談いただくことが、入れ歯を長く快適に使い続けるためにとても大切です。当院では、入れ歯を作製した後も、定期的なチェックと必要な調整を継続して承っております。

入れ歯の調整を行う歯科医師

入れ歯・義歯の注意点

入れ歯を快適に長く使うための注意点

入れ歯を作ったら

入れ歯による治療は、比較的短い期間で作製でき、失った歯の機能をすぐに補えることが大きな利点です。しかし、できあがった入れ歯をそのまま使い続けていればよいというわけではありません。正しい使い方やお手入れの方法を知らないまま使っていると、お口の中に思わぬトラブルが起こってしまうこともあります。

逆に言えば、入れ歯の扱い方とお掃除のポイントをきちんと押さえておくことで、入れ歯にまつわるお悩みの多くは防ぐことができます。このページでは、入れ歯を快適に、そして長くお使いいただくために知っておいていただきたいことをまとめました。なお、入れ歯がどうしても合わない、装着すると強い痛みがあるといった場合は、我慢せずにお早めにご相談ください。

入れ歯の調整を行う歯科医師

保険の入れ歯は再製作に期間が必要です

初めて入れ歯を装着したとき、お口の中の違和感が強く「作り直してほしい」と感じられる方もおられます。また、部分入れ歯は小さいため、外したときに紛失してしまったり、包んでおいたティッシュごと誤って捨ててしまうのも実際によくあるトラブルです。

ただし、保険診療で作製した入れ歯は、製作から6ヶ月以上経過しないと作り直すことができないという決まりがあります。これは医療費の適正な利用のために設けられたルールです。そのため、紛失や違和感を理由にこの期間内で作り直す場合は、自由診療での製作となります。違和感がある場合は、まず保険診療の範囲で入れ歯の調整を行えますので、いきなり作り直しとお考えにならず、一度ご相談ください。なお、入れ歯が割れて破損した場合、製作後に別の歯が抜けて作り直しが必要な場合、反対側の顎に新たに入れ歯を作る場合などは、6ヶ月以内でも対応できることがあります。

保険の入れ歯の再製作は6ヶ月後から

入れ歯の正しい使い方

就寝中は外す

就寝中は入れ歯を外していただくことをおすすめしています。一日中入れ歯を装着したままにしていると、歯茎が休まる時間がなくなり、義歯性口内炎などの炎症につながることがあります。また、清掃が不十分なまま装着し続けると、細菌が繁殖して口臭の原因になることもあるため、寝る前には入れ歯を外して洗浄しましょう。

ただし、歯のぐらつきを抑えるなどの理由で歯科医師から装着したまま就寝するよう指示がある場合は、その指示に従ってください。

自己判断で使用をやめない

「入れ歯が合わないから」と自己判断で入れ歯の使用を途中でやめてしまうのは避けてください。入れ歯を使わずにいると、支えを失った周りの歯が少しずつ動いてしまい、せっかく作った入れ歯がやがて入らなくなることがあります。

合わない入れ歯を無理に使い続けるのも、使うのを急にやめてしまうのもトラブルの原因になります。違和感や痛みがあるときは、使用を続けるか迷う前にまず歯科医院にご相談ください。

ご自身で調整・改造しない

入れ歯が合わないと感じたときに、市販の接着剤を使ったり、ご自身で削ったりして調整しようとする事は絶対に避けてください。思わぬ破損やお口の中のトラブルを招くだけでなく、歯科用に作られていない接着剤や素材は身体に害を及ぼすおそれもあります。

入れ歯の調整は保険診療の範囲で行えますので、ご自分でなんとかしようとせずお気軽に歯科医院にお持ちください。

熱湯・乾燥を避ける

入れ歯の多くは熱に弱い樹脂素材でできているため、熱湯での消毒や、食器洗浄機・乾燥機の使用は、変形や破損の原因になります。消毒のつもりが、かえって入れ歯を傷めてしまうのです。

また、外した入れ歯を乾燥させると、ねじれや歪みが生じてフィット感が損なわれることがあります。使用しないときは、水や洗浄液を張った容器に入れて保管し、乾燥させないようにしましょう。

入れ歯の正しいお手入れ

ブラシで汚れを落とす機械的清掃

入れ歯も天然の歯と同じように、使っているうちに食べかすやプラークなどの汚れが溜まっていきます。お手入れの基本となるのが、ブラシを使って目に見える汚れを物理的に落とす「機械的清掃」です。毎食後を目安に入れ歯を外して流水のもとでやさしく磨きましょう。

このとき、研磨剤の入った歯磨き粉や硬い歯ブラシでゴシゴシと強く磨くのは禁物です。入れ歯の表面に細かい傷がつき、かえって汚れや着色が付着しやすくなってしまいます。入れ歯専用のブラシや柔らかい歯ブラシを使い、傷をつけないよう丁寧に洗うのがポイントです。

入れ歯の機械的清掃

カビ・細菌を取り除く化学的清掃

ブラッシングだけでは、入れ歯に付着するカンジダ菌などのカビや細菌を完全に取り除くことは難しいものです。そこで併用したいのが、入れ歯洗浄剤を使った「化学的清掃」です。数日に一度を目安に、洗浄剤を溶かした水に入れ歯をつけ置きすることで、ブラシでは落としきれない汚れや菌を化学的に除去できます。

大切なのは、機械的清掃と化学的清掃のどちらか一方ではなく、両方を組み合わせることです。洗浄剤につけるだけ・ブラシで磨くだけでは清掃が不十分になりがちです。なお、洗浄剤を使う際も熱湯は使わず、ぬるま湯に溶かして決められた時間つけ置きするようにしてください。毎日のブラッシングと定期的な洗浄剤の併用で、清潔な入れ歯を保ちましょう。

入れ歯の化学的清掃

お子様の治療について

お子様の歯を守るための小児歯科

小児歯科とは

小児歯科は、お子様の虫歯予防や治療、歯並び・咬み合わせのチェック、フッ素塗布、毎日の歯磨きの指導などを通じて、将来の歯のトラブルを未然に防ぐためのケアを行う診療分野です。小さな頃から正しい予防習慣を身につけ、健康な歯を守っていくことは、大人になってからのお口のトラブルを減らすことにもつながっていきます。

当院でも小児歯科の診療を行っており、お子様一人ひとりの年齢やお口の状態に合わせた、やさしく丁寧な対応を心がけています。お子様にとって歯科医院が「怖い場所」ではなく「気軽に通える場所」となるよう、安心していただける雰囲気づくりも大切にしています。

お子様の歯磨きを行う親

痛みが出る前に通うことのメリット

歯科医院は「歯が痛くなってから行く場所」と思われがちですが、お子様の場合はそれ以上に「痛くなる前から通っていただく」ことに大きな意味があります。初めての受診が虫歯の治療となってしまうと、「歯医者さんは痛いところ」というイメージが先に残ってしまい、その後の通院が億劫になってしまうかもしれません。

乳歯が生え始めた頃から、保護者の方の検診と一緒にお子様も診せていただくことで、痛みのないなかで歯科医院の雰囲気に慣れ、定期的に診てもらう習慣を自然に身につけることができます。「歯科医院は予防のために通う場所」という意識を小さなうちから育てていくことが、お子様の歯と心の両方を守る土台になります。

お子様に歯磨き指導を行う歯科衛生士

年齢に合わせた小児歯科のケア

乳歯が生え始めた赤ちゃん

0〜3歳ごろ

生後6〜7ヶ月頃に下の前歯から最初の乳歯が生え始め、2〜3歳頃までに上下20本の乳歯が生え揃います。この時期はお子様自身が落ち着いて治療を受けることが難しいため、虫歯にしないための予防が最も大切です。

歯ブラシを口に入れることに慣れさせる、お水を含んで吐き出す練習をするなど、ご家庭でできるちょっとした積み重ねが、これからのケアにつながっていきます。

3〜6歳程度の女の子

3〜6歳ごろ

乳歯が全て生え揃い、5〜6歳になると、最初の永久歯である「6歳臼歯(第一大臼歯)」が生えてきます。お口の一番奥の歯で、噛み合わせの土台となる大切な歯ですが、深い溝に汚れがたまりやすく虫歯のリスクが高い歯でもあります。

お子様一人での仕上げ磨きには限界があるため、保護者の方による仕上げ磨きが欠かせない時期です。指しゃぶりなどの癖が残っている場合も、この頃にご相談ください。

生え変わりの時期の小学生

6〜12歳ごろ

前歯から順に乳歯が永久歯へと生え替わっていく時期です。生え変わる順序は前後しますが、個人差の範囲内であることがほとんどです。

生えたばかりの永久歯は表面のエナメル質が未成熟でやわらかく、虫歯になりやすいため、フッ素塗布や奥歯の溝を埋めるシーラントが特に効果的です。顎の大きさと歯のバランスから歯並びが気になる場合は、6歳ごろを目安にご相談ください。

当院で行うお子様の予防処置

フッ素塗布

歯の表面のエナメル質を強化し、虫歯への抵抗力を高める効果が期待できる処置です。フッ素には、初期の虫歯を修復する再石灰化を助ける働きもあります。歯科医院で使用するフッ素は濃度や使用量を厳密に管理しており、年齢に合わせて調整するため、小さなお子様にも安心して受けていただけます。

シーラント

奥歯の噛む面にある複雑な溝を、歯科用の樹脂であらかじめ塞いでおく予防処置です。生えたばかりの6歳臼歯などは溝が深く、歯ブラシでも汚れを落としきれないことが多いため、シーラントで虫歯の入り口を封じておくことが大きな予防効果につながります。痛みのない処置で、お子様への負担も少ない方法です。

歯磨き指導(TBI)

お子様の年齢や手先の発達に合わせた歯ブラシの選び方、磨き方を、歯科衛生士が丁寧にお伝えします。保護者の方には、お子様の口に合わせた仕上げ磨きのコツや、磨き残しが出やすい場所もご説明いたします。ご家庭での毎日のケアの質が上がることが、虫歯を防ぐうえで何よりの近道になります。

ご家庭でも気をつけたいこと

仕上げ磨きの大切さ

小児歯科で歯科医院に通うことも大切ですが、お子様の歯を守るうえで最も基本となるのは、毎日のご家庭での歯磨きです。乳歯は永久歯に比べて虫歯の進行が速いと言われており、日々のセルフケアでしっかり予防していくことが何より重要です。

幼いうちはどうしてもうまく磨けない部分が残ってしまうため、保護者の方による仕上げ磨きをぜひ続けてあげてください。お子様が自分でしっかり磨けるようになるのは、おおよそ小学校3〜4年生頃と言われています。最初はうまくいかないこともあるかもしれませんが、検診の際に磨き方のコツもお伝えいたしますので、お気軽にご相談ください。

お子様の仕上げ磨きをする母親

お子様の歯を家族で守りましょう

意外に思われるかもしれませんが、お子様のお口の中には、生まれたときには虫歯の原因となる菌(ミュータンス菌など)は存在していないと言われています。多くの場合、ご家族との食事の場面でスプーン・お箸・コップなどを共有することを通じて、大人のお口の中の菌が少しずつお子様に移っていくと考えられています。

菌の感染を目に見える形で完全に防ぐことは難しいのですが、ご家族全員が日々の歯磨きをしっかり行い、お口の中を清潔に保つことで、感染のリスクを減らすことができます。保護者の方ご自身が定期的に歯科検診を受け、お口の状態を整えておくことも、お子様の歯を守る大きな一歩につながります。歯並びが気になる場合は、6歳ごろからの小児矯正もご検討いただけますので、お気軽にご相談ください。

》当院の小児矯正について

お子様のスプーン・フォークと親のスプーン・フォーク

治療の流れ

初来院〜治療終了、メインテナンスまでの流れ

STEP1

ご来院・問診票のご記入

はじめてご来院の方は、受付にてマイナ保険証または資格確認書をご提示ください。お忘れの場合は当日10割自己負担となりますが、同月内にご提示いただければ差額分をご返金します。

問診票は紙とWEBの2種類をご用意しています。スムーズにご案内するため、ご予約時間の10分前にお越しください。

受付で問診票を記入するイメージ

STEP2

初診時のヒアリング

治療に入る前に、まずはお話をしっかり伺う時間を設けています。「歯が痛い」「見た目が気になる」など、来院のきっかけはさまざまです。症状の確認はもちろん、これまでの歯科治療で不安だったことや、今回どんな状態になりたいかについてもお聞きします。患者さん自身の希望や生活スタイルを知ることが、治療の方向性を決める大切な手がかりになります。

スタッフが患者さんの話を聞いているイメージ

STEP3

検査・審査・診断

ヒアリングの内容をふまえ、口腔内の状態を詳しく調べていきます。レントゲンやCTによって骨の状態や歯の根の様子も確認できるため、見た目だけではわからない問題を早い段階で把握することができます。

歯周組織や咬み合わせの検査も行い、お口全体のバランスを総合的に判断したうえで担当医を決定します。

レントゲン撮影のイメージ

STEP4

痛みや腫れへの応急処置

痛みや腫れが続いている場合は、まずその症状を和らげることを優先します。

応急処置や投薬でまず痛みを和らげてから、落ち着いた状態で次のステップに進めるよう配慮しています。

応急処置のイメージ

STEP5

歯科医師によるカウンセリング

検査結果をもとに、担当医が治療の選択肢をご説明します。保険診療と自由診療それぞれのメリット・デメリット、費用の目安、治療にかかる期間、考えられるリスクについてわかりやすくお伝えします。

「全て歯科医師に任せる」ではなく、患者さん自身が内容を理解して選んでいただくことを当院では大切にしています。

歯科医師がカウンセリングをしているイメージ

STEP6

治療計画に沿った本格治療

治療計画への合意が得られたら、本格的な治療を始めます。1回ごとに何を行うかをお伝えしながら進めるため、「今日は何をされるんだろう」という不安を少なくできます。

虫歯や歯周病の治療だけでなく、咬み合わせの調整まで、お口全体を視野に入れた治療を行います。

治療を進めているイメージ

STEP7

治療終了・メインテナンスへ

治療が一段落したあとも、定期的なメインテナンスのご来院をおすすめしています。歯は一度治療しても、日々のケアや定期的な確認がなければ再び悪化することがあります。

3〜6ヶ月に一度のクリーニングと検診で、治療後の状態を長く保つお手伝いをします。

メインテナンスのイメージ

歯科口腔外科について

外科的処置・歯を抜く治療「歯科口腔外科」

歯科口腔外科とは

歯科治療と聞くと、虫歯を削って詰める、歯石を取る、被せ物を作るといった処置を思い浮かべる方が多いと思います。これらに加え、歯茎を切開する、歯を抜くといった外科的な処置を伴う治療を専門に扱う分野が、「歯科口腔外科」です。当院では、虫歯治療や歯周病治療と同じように歯科口腔外科の領域も対応しており、ご来院の際に特別な手続きをご準備いただく必要はありません。

外科治療の対象となるのは、親知らずの抜歯、お口の中のできものの治療、インプラント治療などです。出血を伴う処置や、神経・骨に近い部分に関わる処置が含まれるため、その日のうちに即座に治療まで進めることは多くなく、検査と診断を丁寧に行ったうえで、後日改めて治療日を設けるのが一般的な流れです。

抜歯のために用意された器具

当日に抜歯ができない理由

「歯を抜いてほしい」とご来院いただいた方が、その日のうちに抜歯まで完了するケースは多くありません。抜歯は出血を伴う処置で、お口の中の状態によっては神経組織や頭蓋骨内の空洞に近い可能性があるため、安全に進めるためには事前の準備が欠かせません。

具体的には、血液をサラサラにする薬などの服用中のお薬の確認、パノラマレントゲンや歯科用CTによる神経・血管の位置の把握、そして抜歯予定の歯やその周辺に炎症がある場合は、まずお薬や処置で症状を落ち着かせるところから始めます。特に下顎の親知らずはすぐ下に神経が走っていることが多いため、初めて来院した際の判断だけで抜歯することはほとんどありません。当日中の処置をご希望の場合もあるかと思いますが、安全に治療を行うための工程としてご理解いただけますと幸いです。

パノラマレントゲンを撮影する歯科用CT

当院で対応する歯科口腔外科の治療

親知らずの抜歯

親知らずの抜歯

歯科口腔外科で最もご相談の多い治療です。横向きに生えていたり、一部だけ顔を出している親知らずは、清掃が行き届かず炎症や虫歯の原因になることが多いため、検査のうえで抜歯のご提案をすることがあります。

難易度の高い抜歯については、入院設備のある専門の医療機関へご紹介いたします。

お口の中のできもの

できもの・口腔がんの検査

なかなか治らない口内炎、舌や頬の内側にできたしこり、歯茎の腫れなど、お口の中のできものに対する診察・治療も歯科口腔外科の領域です。

口腔がんの可能性が疑われる病変が見つかった場合は、より精密な検査と治療が可能な医療機関へ速やかにご紹介いたします。

インプラント治療

インプラント治療

失った歯の代わりに、人工の歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を装着する治療です。顎の骨の量が足りない場合に行う骨造成や、歯茎の形を整える処置も外科治療の一環として行います。

当院で行うインプラント治療は、すべて自由診療としての提供となります。

抜歯を検討すべき親知らずの状態

虫歯になった親知らず

虫歯・歯肉炎になった親知らず

親知らずはお口の一番奥に位置するため、歯ブラシが届きにくく、虫歯になったり歯肉炎を起こすリスクが高い歯です。

咬み合わせとして機能していない親知らずが虫歯になってしまった場合は、無理に治療をして残すよりも抜歯した方がよいと判断することがあります。

一部だけ生えた親知らず

一部だけ見えている親知らず

歯の一部分だけが歯茎から顔を出し、残りが歯茎の中に埋まっている親知らずは、汚れが入り込みやすい一方で清掃が困難なため、繰り返し炎症(智歯周囲炎)を起こしやすい状態にあります。

また、覆い被さった歯肉を噛んでしまう事も多いため、腫れや痛みを繰り返している場合は、抜歯を検討した方がよいと考えられます。

横向きに生えた親知らず

横向き・斜めに生えた親知らず

顎のスペースが足りないなどの理由で、親知らずが斜めや横向きに生えてしまうことがあります。咬み合わせとして機能しないだけでなく、手前の歯を押して歯並びを乱したり、手前の歯の根っこを傷つけたりすることもあります。

レントゲンで状態を確認したうえで抜歯のご提案をすることがあります。

抜歯しなくてもいい親知らずはある?

「親知らずがある=必ず抜かなければならない」というわけではありません。先にご紹介したような状態に当てはまらず、お口の中で他の歯と同じように健康に機能している親知らずであれば、無理に抜く必要はなく、そのまま残して経過を見ていく選択肢もあります。

具体的には、まっすぐきれいに生えていて上下の親知らずがしっかり噛み合っている、毎日の歯磨きで清掃が行き届いている、痛みや腫れを繰り返していない、レントゲンで根の周りや手前の歯に問題が見当たらない、といった条件がそろっている親知らずです。こうしたケースでは、抜歯をせず、定期検診の際にあわせて経過を確認していくのが一般的です。

ただし、加齢や生活習慣によって、これまで問題のなかった親知らずに変化が起きてくることもあります。「いまは大丈夫」と思える親知らずでも、定期的に歯科医院でチェックしていただくことで、変化があったときに早めに対応しやすくなります。

まっすぐ生えた親知らずのイメージ"

親知らずの抜歯で気をつけたいこと

術後の痛みと過ごし方

親知らずの抜歯後は、多くの場合、ある程度の痛みや腫れが出ます。痛みの強さや続く期間には個人差がありますが、一般的には2〜3日ほどで落ち着いていきます。痛みが強いときは、処方された痛み止めを我慢せずに使っていただいて構いません。腫れが気になる場合は、抜歯した側の頬を濡れたタオルなどで軽く冷やすと、症状が和らぐことがあります。

抜歯当日は、血流を活発にする行動は控えめにしていただくのが安心です。長湯や激しい運動、飲酒は、出血を再開させたり腫れを強めたりする原因になります。お風呂はシャワー程度に留めていただき、お食事は麻酔が切れてから、刺激の少ない柔らかいものを反対側で噛むようにしてください。歯磨きも、傷口は避けて優しく行っていただくと安心です。

抜歯後の痛みを感じる女性

「ドライソケット」の予防

抜歯後にとくに気をつけたいトラブルが、強い痛みが長く続く「ドライソケット」です。抜歯したあとの穴には、本来であれば血液がたまって血のかさぶた(血餅)となり、その下で傷の治癒が進んでいきます。ところが、必要以上にうがいをしたり、舌や指で傷口を触ったりして、この血餅が早い段階で取れてしまうと、骨が露出した状態になり、強い痛みが続いてしまうことがあります。

ドライソケットを防ぐためには、抜歯後3日ほどは傷口にできるだけ刺激を加えないことが大切です。気になっても触らない、強くうがいをしない、ストローで吸うような動作は避ける、といった点を意識していただくと安心です。万が一、抜歯後の痛みが日を追うごとに強くなる、薬を飲んでも収まらないといった場合は、我慢せずにご連絡ください。

ドライソケットのCGイメージ

歯の検診・予防歯科のQ&A

歯の検診・予防歯科についてのよくある質問

Q.定期検診ではどのようなことをするのでしょうか?
A.定期検診と聞いても、具体的に何をするのかイメージしにくいかもしれません。当院の定期検診では、まずお口の中全体を視診で確認し、虫歯ができていないか、被せ物や詰め物に不具合がないかをチェックします。続いて歯周ポケットの深さを測り、歯茎の状態や歯石・プラークの付き具合を確認していきます。必要に応じてレントゲン撮影も行い、目では見えない歯の内部や歯を支える骨の状態も把握します。状態の確認が終わったら、歯科衛生士によるクリーニングで、ご自宅では落としきれない汚れや着色を取り除き、最後に毎日のセルフケアのアドバイスをお伝えして終了です。所要時間はおおよそ30分から1時間程度で、痛みの伴う処置はほとんどありません。
Q.毎日しっかり歯磨きしているのに、歯科でのクリーニングは必要なのでしょうか?
A.ご自宅での丁寧な歯磨きはとても大切ですが、それだけでお口の中の汚れをすべて取り除くことは、実はとても難しいものです。歯ブラシだけでは歯と歯の間や歯の裏側、奥歯の溝といった部分にどうしても磨き残しが生じやすく、そこに少しずつプラークがたまっていきます。さらに、磨き残しの一部は時間とともに固まって歯石となり、こうなるとご自身では取り除くことができません。歯科医院で行うクリーニングは、専用の器具と技術を使って、こうしたセルフケアでは届きにくい場所の汚れまで丁寧に取り除く処置です。日々のセルフケアと歯科でのプロのケアを組み合わせることで、虫歯や歯周病のリスクをより効果的に抑えることができます。
Q.デンタルフロスや歯間ブラシは本当に必要ですか?
A.歯ブラシでお口の中をきれいに磨いたつもりでも、歯と歯の間に残る汚れはなかなか取りきれないものです。ある研究では、歯ブラシだけで磨いた場合に取り除けるプラークはおよそ6割程度にとどまり、歯間ブラシやフロスを併用することで8割以上まで高められるとされています。歯と歯の間は虫歯や歯周病が始まりやすい場所のため、補助清掃用具の活用はとても効果的です。ただし、歯間ブラシのサイズが合っていないと、かえって歯茎を傷つけてしまうこともあります。中には使うのが難しいと感じられる方もおられますので、ご自身のお口に合った種類や使い方を、歯科衛生士に一度ご相談いただくと安心です。
Q.歯のクリーニングは痛いですか?歯が削れてしまうことはありませんか?
A.歯のクリーニングは基本的に痛みの少ない処置で、リラックスして受けていただける方がほとんどです。歯科衛生士が専用の器具を使って汚れや歯石を丁寧に取り除いていきますが、健康な歯のエナメル質を削るような処置ではありませんので、ご安心ください。ただし、歯茎に炎症がある場合や歯石が深いところに付着している場合は、処置の際に多少の刺激を感じることがあります。痛みに敏感な方は、施術前にお伝えいただければ、力加減や使う器具を調整して進めます。また、定期的にクリーニングを受けていただいている方ほど一度に取り除く歯石の量が少なく済むため、回を重ねるごとに刺激も少なくなっていく傾向があります。

入れ歯・義歯のQ&A

入れ歯・義歯についてのよくある質問

Q.初めての入れ歯です。使い慣れるまでどれくらいかかりますか?
A.初めて入れ歯を使い始めた頃は、お口の中の異物感や、これまでにない発音のしづらさ、噛むときの違和感など、さまざまな戸惑いを感じることが多いです。これはご自身の歯ではないものが口の中にある状態に、舌や頬の筋肉がまだ慣れていないために起こります。多くの場合、数日から数週間ほど使い続けていただくうちに、舌や頬が新しい状態に合わせて動くようになり、自然な感覚へと近づいていきます。話しにくさを早く解消するには、ご自宅で声に出して本や新聞を読む練習が役立ちます。ただし、特定の場所が痛む、何度も入れ歯が外れてしまうといった症状が続く場合は、慣れの問題ではなく調整が必要なサインの可能性があります。我慢せずにご相談ください。
Q.入れ歯が外れやすいのですがなんとかなりますか?
A.入れ歯が動く、硬い物が噛みにくい原因は、隙間や噛み合わせ、歯ぐき・骨の変化などです。調整で改善できることも多いため、作り直す前に歯科医院で状態を確認しましょう。
Q.入れ歯のお手入れはどのようにすればよいですか?
A.入れ歯を長く快適に使うためには、毎日のお手入れが入れ歯のお手入れはどのようにすればよいですか?欠かせません。基本は、毎食後にお口から外し、流水のもとで入れ歯専用のブラシを使って汚れを落としていただくことです。歯磨き粉は研磨剤が入っているものが多く、入れ歯の表面に細かい傷をつけて汚れがつきやすくなる原因となるため、入れ歯には使わない方がよいでしょう。さらに、1日1回は入れ歯洗浄剤につけ置きしていただくと、ブラシだけでは落としきれない細菌や着色を取り除く助けになります。また、お手入れの際は誤って落として破損させてしまわないよう、洗面台に水を張るかタオルを敷いておくと安心です。日々のお手入れに加えて、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けていただくと、ご自身では気づきにくい汚れや劣化の早期発見にもつながります。
Q.入れ歯が合わなくなりました。修理と作り直しのどちらになりますか?
A.入れ歯の破損は、金具の曲がりや小さなヒビなら修理できる場合があります。土台が大きく割れている場合は作り直しが必要です。合わないと感じたら早めに歯科医院へお持ちください。
Q.保険の入れ歯と自由診療の入れ歯、どんな違いがありますか?
A.保険診療の入れ歯は、使える素材や形に一定の決まりがあり、その範囲内で作製されます。費用を抑えられる、短期間で作れる、修理がしやすいといった利点があり、まずは入れ歯を試してみたい方や、最低限の機能を確保したい方に適しています。一方の自由診療の入れ歯は、素材や設計の選択肢が広く、金属の金具を使わず見た目が自然なもの、薄く軽い金属床で違和感を抑えたもの、フィット感や審美性をより追求したものなど、お悩みに合わせた仕上がりを選ぶことができます。費用は高くなりますが、見た目や装着感、お食事の快適さを重視される方には選ばれることが多い選択肢です。当院では、保険・自由診療どちらもご相談を承っていますので、ご自身の優先したい条件をお聞かせいただきながら、最適な方法を一緒に考えていきます。

咬み合わせについて

歯と歯の咬み合わせについて

咬み合わせとは

私たちの口の中には、永久歯が上下で28本、親知らずを含めると最大で32本そろっています。これらの歯が上下できちんと向かい合い、バランスよく接触することで、食べ物を噛む、話す、飲み込むといった毎日の動作がスムーズに行われています。この歯と歯の接触の状態を「咬み合わせ」と呼びます。

一方で、歯が重なって生えていたり、上下の顎の位置がずれていたりして、うまく咬み合っていない状態は「不正咬合ふせいこうごう」と呼ばれます。不正咬合は見た目の印象を左右するだけでなく、虫歯や歯周病のかかりやすさ、発音のしやすさ、さらには頭痛や肩こりといった体の不調にまで関わってくることがあります。

正常な咬み合わせの口元の写真

理想的な咬み合わせ「一歯対二歯咬合」

咬み合わせには、歯にかかる力が分散され、それぞれの歯が本来の役割を十分に果たせる理想的な形があります。これは「一歯対二歯咬合いっしたいにしこうごう」と呼ばれ、上下の歯を噛み合わせたときに、1本の歯がかみ合う相手の2本の歯と接触する状態を指します。

この形が整っていると、噛む力が一部の歯に集中せず、口全体へバランスよく配分されます。逆に、咬み合わせが理想から大きく外れていると、特定の歯にばかり負担がかかり、その歯が早くにダメージを受けてしまうことにつながります。当院では、見た目の美しさだけでなく、こうした力のバランスや長期的な機能を見据えた咬み合わせを大切に考えています。

一歯対二歯咬合の歯の模型

代表的な不正咬合の種類

叢生(ガタガタの歯並び)のイメージ

叢生そうせい

歯がデコボコに重なり合って生えている状態で、八重歯もこれに含まれます。顎に対して歯が並ぶスペースが足りないことが主な原因です。歯が入り組んでいる部分は歯ブラシが届きにくく、磨き残しから虫歯や歯周病を招きやすい歯並びです。

上顎前突(出っ歯)のイメージ

上顎前突じょうがくぜんとつ

上の前歯が前方へ突き出している状態で、出っ歯や口ゴボと呼ばれることもあります。前歯がぶつけて欠けやすいほか、口が閉じにくいことで口の中が乾燥し、虫歯や歯周病のリスクが高まることもあります。

下顎前突(受け口)のイメージ

下顎前突かがくぜんとつ

下の歯が上の歯よりも前に出ている状態で、受け口や反対咬合とも呼ばれます。顎の骨格の大きさの違いや、舌で歯を押す癖などが原因となります。食べ物を噛みにくかったり、発音に影響が出たりすることがあります。

開咬のイメージ

開咬かいこう

奥歯で噛んでも前歯が咬み合わず、上下の前歯のあいだに隙間が空いてしまう状態です。指しゃぶりや舌を前に押し出す癖が関係していることがあります。前歯で食べ物を噛み切りにくく、奥歯に負担が集中しやすい歯並びです。

過蓋咬合のイメージ

過蓋咬合かがいこうごう

噛んだときに上の前歯が下の前歯を深く覆い隠してしまう、噛み合わせの深い状態です。下の前歯が上の歯ぐきに当たって傷つけたり、奥歯に過剰な負担がかかったりすることがあります。見た目では気づきにくい不正咬合のひとつです。

空隙歯列(すきっ歯)のイメージ

空隙歯列くうげきしれつ

歯と歯のあいだに隙間が空いている状態で、すきっ歯とも呼ばれます。顎の大きさに対して歯が小さい場合などに起こります。隙間に食べ物が挟まりやすいほか、前歯の隙間は発音に影響することもあります。

不正咬合が引き起こすトラブル

虫歯・歯周病を招く

歯が重なっていたり傾いていたりすると、歯ブラシの毛先が隅々まで届きにくくなり、どうしても磨き残しが生まれてしまいます。みがけていない部分には汚れや細菌が溜まり、虫歯や歯周病が発生・進行する温床となります。治療してもまた同じ場所が悪くなる、という繰り返しに陥ってしまうことも少なくありません。

また、口が閉じにくい歯並びの場合は口の中が乾燥しやすく、唾液による自浄作用が働きにくくなることも、トラブルを助長する一因となります。咬み合わせを整えることは、こうした繰り返しの虫歯や歯周病を防ぐうえでも意味のある取り組みです。

磨き残しが起きやすい場所の歯磨きのイメージ

特定の歯や顎への負担

咬み合わせのバランスが崩れていると、本来は全体で受け止めるはずの噛む力が、一部の歯だけに集中してかかってしまいます。わずかな負担であっても、それが何年も積み重なると、その歯が割れたり、歯を支える骨が痩せて歯ぐきが下がってきたりと、少しずつダメージが現れてきます。

負担は歯だけにとどまりません。上下の顎をつなぐ顎関節にも無理な力が加わることで、口を開けると顎が痛む、音が鳴るといった顎関節症の症状や、肩こり・頭痛といった体の不調につながることもあります。気になる症状がある場合は、咬み合わせの観点から一度状態を確認してみることをおすすめします。

顎関節への負担を表す不正咬合

咬み合わせを見据えた治療

「一口腔一単位」で診察します

当院では、1本の歯を治療する場合でも、その歯だけを見るのではなく、お口全体を包括的にとらえる「一口腔一単位いちこうくういちたんい」という考え方を大切にしています。たとえば不正咬合が原因で虫歯になった歯は、その歯を詰めたり被せたりするだけでは、根本的な原因が残ったままとなり、再び同じトラブルを繰り返してしまうことがあるためです。

そこで初診の際には、お口の中の写真撮影やレントゲン、咬み合わせの記録といった資料を丁寧に採得させていただき、今すぐ治療が必要な部分だけでなく、お口全体の長期的な健康を見据えた治療計画をご提案しています。歯並びそのものの改善が望ましい場合には、矯正治療という選択肢をご案内することもあります。繰り返す虫歯や咬み合わせにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

》当院の矯正歯科について

咬み合わせのカウンセリングを行う歯科医師

咬み合わせの診断

咬み合わせを正しく診断するために

咬み合わせの状態を詳しく確認します

当院では、治療を進めるにあたって咬み合わせの状態を丁寧に把握することを大切にしています。歯のトラブルというと虫歯や歯周病が思い浮かびますが、実際には咬み合わせのバランスのズレが、歯の痛みや顎の不調、詰め物が取れるといった症状の背景に隠れていることも少なくありません。原因を見極めないまま治療を進めると、同じトラブルを繰り返してしまうこともあります。

特に、顎関節症や咬合性外傷といったお悩みがある場合は、咬み合わせの状態を多角的に確認したうえで治療の計画を立てることが重要です。そのために当院では、初診時のレントゲン撮影やお顔の写真撮影をはじめ、症状やご希望に応じてさまざまな検査を組み合わせ、咬み合わせを総合的に診断しています。

模型を使って咬み合わせを説明する歯科医師

当院で行う咬み合わせの検査

パノラマレントゲン

1枚のレントゲンで上下の歯やあごの骨など、お口全体を広く映し出す撮影方法です。

虫歯や歯を支える骨の状態、親知らずの位置などを大まかに把握するのに役立ち、全体像を確認する最初の検査として用いられます。

セファログラム

頭部を横や正面から撮影するレントゲンで、上下のあごの位置関係や骨格のバランスを確認できます。

咬み合わせや歯並びが骨格的にどのような状態にあるのかを分析するのに有効で、矯正の診断などにも用いられます。

歯科用CT

歯や骨、神経の位置などを立体的な3D画像で確認できる検査機器です。

平面のレントゲンでは見えにくい奥行きや厚みも詳細にとらえられるため、より正確な診断と、安全な治療計画を立てるうえで役立ちます。

口腔内写真

専用のカメラでお口の中を撮影し、記録として残します。

レントゲンには写らない歯の表面の状態や歯茎の色、咬み合わせの様子などを確認でき、治療前の状態を正確に把握し、経過を比較するうえで欠かせない資料となります。

顔貌写真

お口を閉じたお顔や笑ったときの表情を撮影する方法です。

お顔全体とのバランスや、あごの歪みの有無などを客観的に確認できます。咬み合わせは顔貌とも深く関わるため、お顔を含めて記録することが診断に役立ちます。

模型診断

必要に応じて歯型を取り、お口を再現した模型を作製して診断を進めます。

模型を使うことで歯の形や咬み合わせの状態を立体的に確認でき、治療計画を患者様にご説明する際にも、イメージを共有しやすくなります。

その他の咬み合わせの検査

口腔内スキャナーによる検査

当院では、お口の中を撮影して立体的なデータとして記録できる光学口腔内スキャナー「iTero(アイテロ)」や「プライムスキャン」を導入し、咬み合わせの診断に活用しています。iTeroはマウスピース矯正の診断で広く使われている機器ですが、プライムスキャンと同様に咬み合わせの分析や確認においても高い精度を発揮します。

不正咬合がどのように改善していくのかをシミュレーションしたり、咬み合う歯の接触が強い部分を色で表示して画像で確認できるため、ご自身では実感しにくいお口の状態を、視覚的に分かりやすく理解していただけます。従来の歯型取りのように粘土のような材料をお口に入れる必要がなく、負担が少ないことも特長のひとつです。

咬み合わせの検査画面を開いたプライムスキャン

口腔内写真の役割について

お口の中やお顔の写真を撮影することで、歯の位置関係や咬み合わせの状態、あごの動きの傾向などを客観的な記録として後から見比べることができます。歯科での写真撮影に慣れていない方は少し戸惑われるかもしれませんが、正確な診断に欠かせない大切な検査のひとつです。

当院では、より質の高い診断と治療をご提供するために、必要に応じてレントゲン撮影や歯科専用カメラでの写真撮影を実施しています。撮影する内容やその目的についてご不明な点がありましたら、どうぞお気軽にスタッフまでお尋ねください。

歯科専用カメラ

顎関節治療

顎の関節に起こる不調「顎関節症」

顎関節症とは

食事や会話のたびに、私たちは無意識に口を開け閉めしています。この動きを支えているのが、耳のすぐ前にある「顎関節がくかんせつ」です。下顎の骨と頭の骨をつなぐこの関節に何らかの負担が積み重なると、口を開けたときに痛みが出たり、音が鳴ったり、思うように開かなくなったりすることがあります。こうした顎まわりの不調をまとめて「顎関節症」と呼びます。

顎関節症は珍しい病気ではなく、多くの方が一度は経験すると言われるほど身近なトラブルです。軽いものであれば自然に落ち着くこともありますが、痛みが続いたり日常生活に支障が出たりする場合は、我慢せずに歯科医院でご相談ください。早めに原因を確かめることで、症状を和らげやすくなります。

顎関節の不調を感じる女性

顎関節が動くしくみ

顎関節は、骨と骨が直接ぶつからないよう、その間に「関節円板かんせつえんばん」というクッションのような組織をはさんでいます。口を開け閉めするとき、この関節円板が骨の動きに合わせてなめらかに移動することで、スムーズな動きが保たれています。さらに、顎の周りにはいくつもの筋肉が付いており、これらが協調して働くことで、噛む・話すといった複雑な動きが可能になっています。

ところが、強い力が加わったり、筋肉が過度に緊張したりすると、このクッションの位置がずれたり、関節や筋肉に炎症が起きたりします。顎関節症の症状は、こうした関節そのもの・関節円板・周囲の筋肉のいずれに不調が起きているかによって、現れ方が変わってきます。

顎関節のしくみを示す模型

顎関節症の代表的な症状

口を開けると顎が痛む女性

顎が痛む

口を開けたときや食べ物を噛んだとき、あくびをしたときなどに、耳の前あたりやこめかみ、頬に痛みを感じる症状です。

片側だけのこともあれば、両側に出ることもあります。朝起きたときに痛みが強い場合は、就寝中の食いしばりが関わっていることもあります。

口が開きにくくなった女性

口が開かない

口を大きく開けられない、開けようとすると引っかかる感じがする症状です。一般的に、指を縦に3本入れられる程度(およそ40mm)開くのが目安とされ、それより開きにくい場合は注意が必要です。

関節円板のずれや筋肉のこわばりが関係していることがあります。

顎の音が気になる女性

顎が鳴る

口の開け閉めのときに「カクッ」「ジャリッ」といった音が顎の関節から鳴る症状です。基本的に痛みを伴わない音だけの場合は、経過観察となり治療を行わないことも多いです。

一方で、痛みや開けにくさを伴う雑音は、関節内部の状態を詳しく知るために検査をした方が良いサインです。

顎関節症を引き起こす要因

歯ぎしり・食いしばり

就寝中の歯ぎしりや食いしばりは、自分でも気づかないうちに顎の関節や筋肉に大きな負担をかけ続けます。顎関節症の代表的な要因のひとつで、力を和らげる手段として就寝時のナイトガードのほか、噛む筋肉の力を抑える咬筋ボツリヌス注射(自由診療)が選択肢となることもあります。

日中の歯の接触癖(TCH)

本来、上下の歯は安静時にはわずかに離れているのが正常な状態です。ところが、日中に無意識で上下の歯を触れさせ続ける癖があると、顎の筋肉が休まらず、関節への負担が積み重なっていきます。これはTCHと呼ばれ、意識して歯を離すことが対策になります。

ストレス・生活習慣

精神的な緊張やストレスは、無意識の食いしばりや筋肉の緊張を招きやすくなります。また、頬杖やうつ伏せ寝、片側だけで噛む癖、長時間のデスクワークでの姿勢なども、顎に偏った負担をかける一因です。日々の何気ない習慣が、知らないうちに顎の不調につながっていることがあります。

咬み合わせ・外傷

合っていない詰め物や被せ物、歯並びの乱れによって咬み合わせのバランスが崩れると、顎関節に無理な力がかかることがあります。また、転倒やぶつけたことによる衝撃、過去の顎のケガなどがきっかけとなる場合もあります。顎関節症は、こうした複数の要因が重なって起こることが多いと考えられています。

顎関節症の治療

マウスピースを用いたスプリント治療

顎関節症の治療として広く行われているのが、マウスピースを使ったスプリント治療です。専用のマウスピースを装着することで、顎の関節にかかる負担を軽くし、顎を安静な位置に保ちます。就寝中の歯ぎしりや食いしばりによる力を和らげるナイトガードや、顎の位置を安定させて筋肉の緊張をゆるめるスタビライゼーションスプリントなどがあります。

スプリント治療は、歯を削ったり外科的な処置を行ったりする必要がなく、体への負担が少ない方法です。ただし、現在出ている症状を和らげる対症療法という位置づけのため、原因に応じて他の対応を組み合わせていくこともあります。症状や顎の状態を確認したうえで、無理のない治療法をご提案いたします。

顎関節症に利用するスタビライゼーションスプリント

お口まわりの癖や習慣の見直し

顎関節症は、日常の癖や習慣が深く関わっているため、ご自宅でのセルフケアも改善の大切な一歩になります。たとえば、上下の歯を無意識に接触させていないか意識してみる、硬いものや大きく口を開ける食べ物を控えめにする、頬杖や片側噛みの癖を見直す、といった工夫が顎への負担を減らします。痛みが強いときは、無理に動かさず安静に過ごすことも大切です。

こうしたセルフケアは、治療と並行して続けることで効果が高まります。逆に、原因となる癖が残ったままでは、治療で一度よくなっても再び症状が出てしまうこともあります。当院では、お一人おひとりの生活背景もうかがいながら、ご自宅で取り組めるアドバイスもあわせてお伝えしています。気になる症状があれば、早めにご相談ください。

顎関節症のセルフケアを説明する歯科医師

咬合性外傷

咬み合わせの力が引き起こす歯のダメージ

咬合性外傷とは

咬合性外傷こうごうせいがいしょうとは、噛むときの力が特定の歯に偏って強くかかることで、その歯や歯茎、歯を支える骨などがダメージを受けてしまう状態のことです。歯は本来、上下のたくさんの歯で力を分け合うことでバランスを保っていますが、何らかの理由で一部の歯ばかりに負担が集中すると、その歯が悲鳴をあげてしまうのです。

そして、こうした過剰な負担を生み出してしまう咬み合わせの状態そのものは「外傷性咬合がいしょうせいこうごう」と呼ばれます。咬合性外傷は進行すると歯のぐらつきや痛み、歯茎の炎症などにつながることがあり、症状や原因によって必要な対応も変わってきます。同じ場所に繰り返し不調を感じる方は、一度ご相談ください。

咬み合わせによる歯の痛みを感じる女性

虫歯・歯周病とは違う「力」のトラブル

歯のトラブルというと、多くの方が虫歯や歯周病を思い浮かべるのではないでしょうか。これらはいずれも細菌によって引き起こされる病気ですが、咬合性外傷は細菌ではなく「力」が主な原因という点で大きく性質が異なります。そのため、虫歯が見当たらないのに噛むと痛い、歯周病ではないのに歯が揺れる、といった一見不思議な症状が現れることがあります。

力によるダメージは、虫歯のように見た目で分かりやすいわけではなく、レントゲンや咬み合わせの検査をして初めて気づくことも少なくありません。原因が「力」にあるからこそ、歯を削って詰めるだけでは解決せず、力のかかり方そのものを見直す必要があります。当院では、こうした力の要素も含めてお口の状態を確認し、症状に合った対応をご提案しています。

虫歯がないのに歯の痛みを感じる女性

2つの咬合性外傷

一次性咬合性外傷のイメージ

一次性咬合性外傷

歯茎や骨といった歯を支える組織が健康であるにもかかわらず、その許容量を超える強い力がかかってダメージを受けてしまう咬合性外傷です。過度な歯ぎしりや食いしばり、極端に強い噛む力などが引き金となり、歯が欠ける・割れる、知覚過敏が出る、顎が痛むといった症状につながります。

一次性咬合性外傷は「力が強すぎること」が原因のため、力を逃がす・和らげる対策が改善の鍵になります。就寝中の負担を軽減するナイトガードのほか、顎の力を抑える咬筋ボツリヌス注射(自由診療)などが選択肢となることもあります。

二次性咬合性外傷のイメージ

二次性咬合性外傷

噛む力そのものは特別に強くなくても、歯周病の進行によって歯を支える骨が減り、歯茎が弱ってしまうことで起こる咬合性外傷です。歯を支えるための歯茎や骨が弱くなってしまい、それまでは問題なく受け止められていた普通の噛む力でも問題を起こしてしまうようになると、大きく歯が揺れたり歯周病をさらに悪化させたりしてしまいます。

二次性咬合性外傷の根本原因は進行した歯周病です。そのため、まずは歯周病の原因を取り除く治療を進めて、歯を支える組織の状態を安定させていくことが症状の改善につながります。

咬合性外傷を招く主な原因

歯ぎしり・食いしばり

就寝中の歯ぎしりや食いしばりでは、自分でも気づかないうちに体重を超えるほどの力が歯にかかっていると言われています。

無意識に繰り返されるため自覚しにくく、健康な歯並びの方にも起こります。力を和らげる手段として、ナイトガードや咬筋ボツリヌス注射(自由診療)が用いられることもあります。

歯並びの乱れ

歯が重なっていたり一部だけ突き出していたりすると、噛んだときに特定の歯へ集中的に力が加わりやすくなり、歯の負担の偏りを生み出してしまいます。

歯並びに起因する場合は、矯正によって力のかかり方を整えることで改善が見込めるケースもあります。

合っていない詰め物・被せ物

虫歯治療で入れた詰め物や被せ物の高さや形が咬み合わせに合っていないと、その歯や噛み合う反対の歯に余計な負担がかかります。

装着時の調整が十分でなかった場合のほか、長年の使用による劣化や変形が原因となることもあり、咬み合わせの調整ややり直しで改善できる場合があります。

日中の歯の接触癖(TCH)

本来、上下の歯は安静時にはわずかに離れているのが正常な状態です。ところが、日中に無意識で上下の歯を接触させ続けてしまう癖があり、TCH(歯列接触癖)と呼ばれています。

一回の力は弱くても長時間続くことで負担が蓄積するため、癖がある場合はそれを自覚して、意識的に歯を離すことが大切です。

気づきにくい咬合性外傷のサイン

こんな症状があればご相談ください

咬合性外傷は、はっきりとした痛みが出ないまま静かに進行することが多く、ご自身ではなかなか気づけないトラブルです。次のような心当たりがある場合は、咬み合わせの力が一部に偏っているサインかもしれません。

  • 噛んだときに特定の歯だけが強く当たる感じがする
  • 虫歯ではないのに、噛むと特定の歯が痛む・しみる
  • 歯が以前よりぐらつくように感じる
  • 朝起きたときに顎が重い、だるい
  • 詰め物や被せ物がよく外れる・欠ける

こうした小さな違和感の段階で対応できれば、歯が割れるといった大きなトラブルを防ぎやすくなります。気になる症状があれば、我慢せずお気軽にご相談ください。当院では、症状やお口の状態に合わせた咬合性外傷への対応をご提案いたします。

咬合性外傷のカウンセリングを行う歯科医師

マウスピース(ナイトガード)

歯ぎしり・食いしばりから歯を守るナイトガード

ナイトガードとは

歯を強く噛みしめたり食いしばったりするとき、歯には自分が思っている以上に大きな力が加わっています。健康な歯であればある程度はその力を受け流せますが、詰め物や被せ物が入っている歯、根管治療を終えた歯は強度が下がっているため、こうした力の影響を受けやすくなります。日常的な歯ぎしりや食いしばりの習慣があると、歯が少しずつすり減ったり、欠けたり割れたりするきっかけになることもあります。

とりわけ就寝中の食いしばりは、無意識のうちに起こるため自分の意思でコントロールすることができません。そこで役立つのが、寝ている間に装着するマウスピース「ナイトガード」です。歯と歯のあいだにクッションをはさむことで力の影響をやわらげ、ご自身の歯や治療した歯を守る助けになります。

歯を保護するナイトガード

ナイトガードは保険診療で製作可能

ナイトガードは歯ぎしりや食いしばり・顎関節症などが原因で、歯や顎の関節・筋肉に痛みや不調があると診断された場合には保険診療で作成することができます。3割負担の方であればおおよそ数千円程度で作ることができ、比較的少ない負担でお口を守る対策を始められます。

一方で、激しいコンタクトスポーツで使うスポーツ用のマウスガードや、歯の医療ホワイトニングに使うマウスピース型のトレーなど、痛みや不調の治療を目的としないマウスピースは自由診療での製作となります。同じマウスピースでも目的によって扱いが変わるため、ご不明な点があればお気軽にお尋ねください。

模型を用いて歯ぎしり・食いしばりの診断をする歯科医師

歯ぎしり・食いしばりのサイン

起床時に顎の違和感を感じる男性

起床時の違和感

朝起きたときに顎が重い・だるい・こわばっていると感じたり、こめかみや頬のあたりが痛い、口が開きにくいと感じる方は、就寝中の歯ぎしりや食いしばりのサインかもしれません。

無意識のうちに歯や顎に大きな負担をかけてしまっている可能性があります。

日中に無意識で食いしばる男性

日中の無意識の癖

日中、起きて活動している間は、本来であれば上下の歯は触れ合っていないのが正常な状態です。ストレスや癖で日中も歯を接触させてしまう状態はTCH(歯列接触癖)と呼ばれます。

無心に集中してしまう際や力仕事で息んでいる際、歯が食いしばりの影響を受けているおそれがあります。

食いしばりの影響で舌に跡がついた状態

舌や頬についた跡

無意識に強い食いしばりや歯ぎしりがある方は、頬の内側の粘膜や舌が歯に押し付けられ続けることがあります。

舌のふちに歯の形に沿った波打つような跡(舌圧痕)が残ることもあり、鏡で舌を見たときのひとつの目安になります。

ナイトガード装着時の効果

歯ぎしり食いしばりの緩和

就寝中の歯ぎしりや食いしばりは、ナイトガードの効果が最も期待できるお悩みです。歯ぎしり・食いしばりの癖がある方の歯は、知らないうちにすり減っていたり、就寝中にギリギリと音を立てていたりします。

ナイトガードを装着することで歯と歯の直接的な接触を防ぎ、歯や顎の筋肉の疲れをやわらげることができます。

治療した歯の保護

セラミックの被せ物や根管治療を終えた歯、インプラントなどは、強い力が繰り返し加わると折れや欠けなどのトラブルが起こる可能性があります。

特に根管治療をした歯は残っている歯質が少なく割れやすいため、ナイトガードで保護することが治療した歯を長く使い続けることにつながります。

顎の負担軽減

歯ぎしりや食いしばりによる力は、歯だけでなく顎の関節にも負担をかけます。ナイトガードで噛む力を受け止め、分散させることで、顎関節にかかる負担をやわらげます。

結果として、顎関節症の症状を安定させる助けになる場合もあります。

ナイトガード使用の注意点

継続して使うことが大切です

ナイトガードは、治療した歯を守り、顎への負担を軽くするために有効な対策です。ただし、途中で使うのをやめてしまったり、装着しない日が続いたりすると、その効果は十分に発揮されません。毎晩の習慣として続けていただくことが、歯を守るうえで何より大切です。

使い始めはお口の中に異物があるような違和感を覚えることもありますが、多くの場合、続けるうちに自然と慣れていきます。当院では、快適に長くお使いいただけるよう、正しい装着方法やお手入れの仕方も丁寧にご説明しています。装着中に痛みや強い違和感がある場合は、無理に使わずご相談ください。また、歯ぎしりの力が強い方は、使ううちにナイトガードがすり減ったり破れたりすることがあります。再製作も承っておりますので、状態が気になるときはお気軽にお声がけください。

ナイトガードのカウンセリングをする歯科医師

咬筋ボツリヌス治療(自由診療)

歯ぎしりや食いしばりの癖が強い方、顎の筋肉の力が強い方には、「咬筋ボツリヌス治療」をご提案することもあります。美容医療の分野でも広く使われているボツリヌス菌製剤を応用した治療で、過度に発達した顎の筋肉(咬筋)の働きをやわらげることで、歯や顎関節にかかる負担を軽くする効果が期待できます。

咬筋ボツリヌス治療は自由診療となりますが、セラミックの詰め物・被せ物を入れた方、精密根管治療やインプラント治療を受けた方など、治療した歯をできるだけ長く守りたいという方に向いた選択肢です。ナイトガードとあわせて検討されることもありますので、気になる方はお気軽にご相談ください。

咬筋ボツリヌス治療のポイント

  • エラ部分への注射で咬筋をやわらげ、歯や顎の負担を軽減します。
  • 麻酔を使わない場合の処置時間は15分程度で、ダウンタイムもほとんどありません。
  • 効果の目安は3〜4ヶ月程度で、注射によって歯ぎしりの習慣が落ち着く事もあります。

咬み合わせ治療のQ&A

咬み合わせ治療に関するよくあるご質問

Q.自分の咬み合わせが正しいかどうか、自分で見分ける方法はありますか?
A.ご自宅でできる簡単な目安はいくつかあります。まず、軽く奥歯を咬み合わせたときに、上下の前歯の中心(正中)が左右にずれていないか、鏡で確認してみてください。また、上の前歯が下の前歯に2〜3mmほど軽くかぶさり、奥歯が上下でしっかり接触しているのが、ひとつの理想的な状態の目安です。食事のときにいつも片側ばかりで噛んでいる、特定の歯だけがよく当たる感じがする、といった点も気づきのヒントになります。ただし、これらはあくまで簡易的な確認方法です。咬み合わせのバランスは見た目だけでは判断が難しく、ご自身では問題ないと思っていても専門的に診ると負担が偏っているケースもあります。気になる点があれば、一度歯科医院で詳しく確認されることをおすすめします。
Q.咬み合わせは年齢とともに変化することがありますか?
A.咬み合わせは一生同じではなく、年齢を重ねるなかで少しずつ変化していくものです。歯は毎日噛むことで表面がわずかにすり減っていきますし、加齢や歯周病によって歯を支える骨が変化すると、歯が動いて咬み合わせが変わってくることもあります。さらに、虫歯の治療で詰め物や被せ物を入れたり、歯を失ってそのままにしていたりすると、周囲の歯が傾いたり伸びてきたりして、お口全体のバランスが少しずつ崩れていくこともあります。こうした変化はゆっくり進むため、ご自身では気づきにくいのが特徴です。長く快適に噛める状態を保つためにも、定期的に歯科医院で咬み合わせを含めたチェックを受けていただくと安心です。
Q.食いしばりや歯ぎしりの自覚がありません。気づく方法はありますか?
A.歯ぎしりや食いしばりは、多くが就寝中や無意識のうちに起こるため、ご自身ではなかなか気づけないものです。いくつかのサインから推測することができます。たとえば、朝起きたときに顎がだるい・疲れている、こめかみのあたりが張っている、歯がしみる、歯の表面が平らにすり減っている、頬の内側や舌のふちに歯の痕がついている、といった点が挙げられます。日中、集中しているときや緊張したときに、気づくと上下の歯を強く噛みしめている、という方も少なくありません。本来、上下の歯は安静時にはわずかに離れているのが正常な状態で、常に接触しているのは負担のサインです。こうした心当たりがある場合は、歯や顎を守るための対策が必要なこともありますので、一度ご相談ください。
Q.咬み合わせの治療に保険は使えますか?
A.咬み合わせの治療は、その目的や方法によって、保険が使える場合と自由診療になる場合に分かれます。痛みや顎関節症の症状を和らげることを目的とした咬み合わせの調整や、マウスピース(スプリント)を用いた治療などは、保険が適用されることが一般的です。一方で、歯並びそのものを整えるための矯正治療や、見た目の美しさを重視したセラミックの被せ物による咬み合わせの再構成などは、原則として自由診療となります。どの治療が必要になるかはお口の状態によって異なり、それによって費用も変わってきます。検査をしたうえで、保険診療・自由診療それぞれの選択肢と費用について、事前にご説明いたします。
Q.詰め物や被せ物をした後、咬み合わせの違和感が続いています。放置しても大丈夫ですか?
A.治療直後はお口が慣れていないこともあり、数日のうちに違和感が落ち着いてくることもあります。しかし、しばらく経っても「噛むと高く感じる」「その歯だけ先に当たる」といった違和感が続く場合は、咬み合わせがわずかに合っていない可能性があります。高さが合っていない被せ物をそのままにしておくと、その歯だけに噛む力が集中し、歯が痛んだり、しみるようになったり、顎に負担がかかったりすることがあります。咬み合わせの調整はわずかに削るだけで済むことも多く、早めに対応するほど負担を抑えられます。違和感を我慢して使い続ける必要はありませんので、気になる場合は遠慮なくご相談ください。

近鉄八尾駅前の歯医者 アップル歯科八尾

  • 〒581-0803 大阪府八尾市光町1丁目39−1 八尾ターミナルホテル北館 1階
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